次世代の成長株を見つける体系的アプローチ
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次世代の成長株を見つける体系的アプローチ

成功投資から再現性のある次世代銘柄を発掘する2段階プロセスを考える。トップダウンでメガトレンドを特定し、ボトムアップで個別株を精査する再現性のある投資手法を言語化する。

昨年末頃にSYM(Symbotic)、JOBY(Joby Aviation)、RKLB(Rocket Lab)に投資をしており、現在のところ株価は倍近くになり成功を収めているといってもよいでしょう。「次世代の主役」となりうるポテンシャルを秘めた企業を掴むことができたと自分自身で感じています。

しかしながら「たまたま見つけられただけ」とも考えており、改めて別の次世代の銘柄を探そうと思っても再現性はないとも考えており、私という個人投資家の次の課題だと受け止めています。運の要素を減らし、実力で勝ち続けるための体系的なアプローチを構築していきたいと思っています。

これらの銘柄を選定した際の私の軌跡を言語化する手伝いをAIに頼んだところ、トップダウン形式とボトムアップ形式の2種類の方法を組み合わせる手法として紹介されました。今回は次世代の銘柄を探すための再現性のあるプロセスとして、言語化されたプロセスを掘り下げてみましょう。

この手法はフェーズ1、フェーズ2と進行して有望な銘柄を絞り込む方法です。

##フェーズ1:トップダウン・アプローチ

このアプローチは簡単に言えば「未来のメガトレンドを見つける」という手法です。個別株という「木」を見るのではなく、社会を変える大きな「森」、つまり**世俗的な成長トレンド(メガトレンド)**を見つけ出すことから始める方法です。

###ステップ1:5〜10年後の世界を動かす「テーマ」を特定する

「世界はどちらの方向に向かっているか?」を考え、大きなテーマをリストアップします。

  • SYM: AI、ロボティクス、物流の自動化
  • JOBY: 都市航空モビリティ
  • RKLB: 宇宙経済

トレンドと結び付けてみると、例に挙げた銘柄がいずれもトレンドに属していることが分かります。他にもバイオテクノロジーやサーバーセキュリティ、フィンテック、量子コンピュータはどうやっても次の社会発展に必要だと感じます。

###ステップ2:テーマをさらに深掘り(サブテーマに分解)

SYMでは「AI」をトレンドに挙げましたが、正直この言葉はバズワードとなりすぎてふわっとしすぎていますよね。そのままでは対象が広すぎるので、どの領域が最も有望かをさらに絞り込みます。

  • AIチップ(半導体): Nvidiaなど半導体メーカー
  • 基盤モデル: ChatGPTなどAIモデルの開発会社
  • AIアプリケーション: AIサービスを提供する企業

サブテーマに分解してみた中で、自分がある程度分かったと思えて将来性にも自信を持てるものを選びます。今の時代ではAIに聞けばある程度のことは学ぶことができるので、サブテーマに対する理解もしやすくていいと思います。

##フェーズ2:ボトムアップ・アプローチ(テーマの中で原石を探す)

有望な「森(テーマ)」を見つけたら、次はその中で最も成長しそうな「木(個別株)」を探します。

###ステップ1:株式スクリーナーで候補を絞り込む

TradingViewやマネックス証券などの株式スクリーナー機能を使い、膨大な銘柄の中から条件に合う候補を効率的に絞り込みます。この時点でAIを活用することもありだとは思いますが、機械的な分類なので既存のツールで十分かと思います。

例:

  • 時価総額: $300M - $2B(Small)もしくは$2B - $10B(Mid)
  • 業種: 選定したテーマ
  • 売上成長率: QoQ > 20%など高い成長率
  • 株価: 5ドル以上(ペニー株は危険)

次世代銘柄の多くは成長途上であり赤字企業の可能性が高いため、PERやEPSによる絞り込みは行いません。代わりにグロース銘柄でよく使われるPSRを一定の割高感の指標とすることは良さそうです。(過去にPSRを無視した投資で大火傷を負ったことがあります)

###ステップ2:定性分析(企業の「質」を徹底的に深掘り)

スクリーナーで数十社に絞り込んだら、それらの企業を調査していきます。本当は自分自身できちんと目を通して調べるのが良いのでしょうが、私はAIに調査させて面白そうな企業だけを自身で深堀り調査しました。(もちろん深堀りもAIに頼るので自身の功績と言えそうなものは着眼点だけです)

  1. 解決する課題は何か?(TAM: Total Addressable Market)
  • その企業は、どのような「大きな問題」を解決しようとしているのか?
  • その市場規模は巨大か?10倍、100倍に成長する余地はあるか?
  1. なぜこの企業が勝てるのか?(競争優位性)
  • 他社にはない独自の技術、特許、強力なブランド、ネットワーク効果などがあるか?
  1. 誰が経営しているか?
  • (この観点はAIや知人であるファンドマネージャーが言っていたのですが、一般の個人投資家レベルでは経営者の質やコネクションを考慮した投資は難しい気がします)
  1. どうやって儲けるのか?(ビジネスモデル)
  • 収益性の高いビジネスか?
  • 顧客のスイッチングコストは高いか?
  • (個人的にはこの観点が最も大事です。キャッシュリッチなウハウハ儲かる企業に投資したいので)

###ステップ3:定量分析(「物語」を数字で裏付ける)

決算資料から「物語」が本物かどうかを確かめます。コロナ禍直後のハイパーグロース銘柄ブームの際にはこれを怠ったがために高値掴みをして痛い目を見たので、物語の真贋と同時にどれだけの期待を寄せてもよさそうかを見たいところです。

  • 売上成長率: 成長は加速しているか?
  • 利益率: 高いか?改善傾向にあるか?
  • 現金とキャッシュバーン: あと何ヶ月、増資なしで生き残れるか?
  • 顧客数や契約額の推移: 顧客は増えているか?顧客あたりの契約額は上昇しているか?

小型のグロース銘柄に増資は付き物なので、潰れないことも大事ですが株主としての持ち分が希薄化しないことも大事です。たしか投資していたRKLBやJOBYは増資の懸念で乱降下があった気がします。

##まとめ

トレンド発見 → スクリーニング → 定性分析 → 定量分析

このプロセスを繰り返すことで、銘柄発見は「運」から「技術」へと変わっていくはずです。そもそも小型株にどんな企業があるか調べることは無理だ、と数年前までは思っていましたが今では調査に役立つAIがいるので何とか調査しきれそうな気がしてきました。

そしてこのプロセスで銘柄を選定することで、自身がなぜその銘柄を選んだのかを自分の中の真として持つことができるのもメリットだと考えています。いつ売るべきなのか分かる、といのは大事です。

一丁前にプロセスとして語ってみましたが、このプロセスは理にかなっているように感じはしますがまだ私自身の血肉となっていないので、ぜひ取り入れて投資に活用していきたいと思っています。