長短金利差など金利の基礎知識メモ
アメリカをはじめ世界中でインフレが加速しだし、金利についての話題が個人投資家界隈でも多く見られるようになってきました。
「金利が上がったらグロース株は売られる」だとかの目先に起こることはパブロフの犬的に理解していますが、インフレと金利の仕組みと長期短期の反応の違いについてはいまいちです。まったく不勉強ではありましたがせっかく勉強したので、個人的な金利へのメモとして覚えた事柄を残しておきます。
国が金利を上げ下げしたいとき
国の中央銀行はインフレ率を制御するために金利の調整という選択をします。
- インフレ率を上げたい:金利を下げる
- インフレ率を下げたい:金利を上げる
ここで言う調整される金利は政策金利です。
インフレ要因
インフレ率が上がる大きな要因としては2つあります。
- 好景気で物価が上がる
- 市場に出回る資金が増えすぎて通貨の価値が下がる
2022年のインフレ要因でいえば後者に当たります。ロシア問題などありますが根本としては、コロナ禍対策としてドルのバラマキ過ぎたせいでドルの価値が下がったためです。
政策金利と国債
政策金利は中央銀行が銀行に資金を貸す際に設定する金利です。
国債は投資家が国へ資金を貸す行為を証券化したもので、貸す期間によって2年物や10年物などに分かれています。
政策金利は短期国債によく連動していきます。政策金利を上げても短期国債の金利が低いままだと、銀行が国債を購入しないことは明白であるためです。
注目される国債と期間
政策金利とよく連動する短期国債として注目されやすいのが2年国債です。
2年国債は今後2年間の政策金利の予想に従って動いていきます。ここで「2年国債の金利 = 市場が織り込んだ今後2年間の政策金利」という図式が成り立ちます。
鶏が先か卵が先かというジレンマに近いですが、市場を動揺させたくない中央銀行は市場の織り込みに従って政策金利を設定していくことになります。
余談ですが通貨価値の安定化という使命のために市場の織り込みに従う中央銀行の姿勢は存在意義自体にも疑問を持たせるもので批判の対象となっており、口さがない人からは政策金利の決定は国債に任せてしまえばいいという意見すらあります。
対照的に10年やそれ以上の長期国債に関してはそう単純ではなく、政策金利以外に経済自体の成長率など変数が増加して複雑に金利が定まってきます。
- 短期国債は政策金利に連動
- 長期国債は経済成長率など複雑な変数で変化
単純化すると上記の理解です。
長短金利差で分かること
「長期国債の金利 - 短期国債の金利 = 長短金利差」と言います。
よく代入されるのはそれぞれ10年国債と2年国債です。
2022年の予測でいうとインフレ抑制のため金利引き上げが行われるため短期国債の金利は上昇していきますが、金利引き上げは景気減速に繋がるため長期国債は上がりづらくなります。なので長短金利差はどんどんと小さくなっていきます。
長短金利差が縮まっていくほど債券市場では景気後退が織り込まれている、と見ることができます。
2022年3月21日時点での10年-2年の長短金利差は約0.18%です。株式市場がグラついた年初時点でも既に約0.8%であったことを考えると市場は急速に景気後退を織り込みに行っているようです。
まとめ(2022年の投資戦略)
コロナ禍当初の伝説的な反転上昇の夢を持ち、2022年の下げに対しても虎視眈々と反転狙いの個人投資家が多いように感じています。直近3月中旬からの反転に際しては早くもFOMOの声も聞こえつつあり個人投資家は躓いた株価が再び舞い上がることを期待している人が多数のようです。
私自身としては今年はグロース株の下落に大いに巻き込まれビビってしまったというのもありますが、反転上昇の可能性よりは長短金利差が示唆する景気後退の織り込みに乗っていく戦略をとろうと考えています。
このままインフレが収まることなく、金利の引き上げに耐えかねて再び株式市場がクラッシュするという予想だということです。
なので株式については特に長期保有を前提としている銘柄以外は処分し、金銀や農作物などのコモディティを代わりに購入していく戦略を取っています。結果がどうなるかはわかりませんが、金利についての勉強をかねてこの戦略が機能するか楽しんでいこうと思います。