間違った簡易水冷クーラーの取り付け方
最近、自作PCを数年ぶりに組み替えようと思って良いPCケースがないかとビルド例を色々見たりしていました。そこで気になったのが、簡易水冷クーラーを採用したビルドでラジエーターがボトムに設置されている作例がちらほらと見つかったことです。
もちろん前提として自作PCは自由であるべきなのでボトムにラジエーターを配置することが間違いではありません。ただ、デメリットがあることを分かった上でやりましょう。
簡易水冷の間違った設置方法
間違った配置方法とはラジエーターをポンプよりも下に設置することです。
基本的に簡易水冷クーラー(AIO)はポンプと水枕とラジエーターとクーラント液で構成されています。本格水冷の場合はポンプと水枕が分離していることが多いですが、AIOの場合はスペース削減のためにポンプと水枕が一体化しています。
部品 | 用途 |
---|---|
ポンプ | クーラント液を循環させる動力源 |
水枕 | 発熱部分とクーラント液の接触箇所 |
ラジエーター | 加熱したクーラント液を冷却させる |
クーラント液 | 熱量を移動させるための媒介 |
H150i PRO RGB 360mm
ボトム設置が間違っている理由
水冷システムの冷却性能はいかに発熱部分からスムーズに熱量を奪い、クーラント液が一周して戻ってくるまでの間にその熱量を放出できるかにかかっています。重要なのが熱伝導率で、空気はこの熱伝導率が低いため水枕に空気が入り込んでいると効率が著しく低下することになります。またポンプも液体を移動させることを前提としているため、空気が混ざっているとエアー噛みという状態になり性能が低下します。
つまり空気がポンプや水枕に溜まってしまうと何重にも冷却性能が低下してしまいます。エアー噛みが発生するため騒音の原因にもなります。
そして知っての通り、液体と空気では空気がより上に移動する性質があります。なのでポンプと水枕がラジエーターよりも上にある(ラジエーターが下にある)と、使用中に発生した細かな空気が徐々にポンプと水枕部分に集まってくることになります。そして先述した機能低下を引き起こすことになります。
AIOは出荷時に十分なエアー抜きが行われているため直ちに空気が溜まり始めることはありませんが、チューブを構成するゴムに徐々にクーラント液が浸透することは避けられないため、徐々にクーラント液の蒸発=エアーポケットの誕生が発生してしまいます。このためAIOは年季が入るに従い揺らすとチャポチャポという音が聞こえるようになります。
どう設置するのが良いのか
JayzTwoCentsによる解説
ラジエーターがポンプ+水枕よりも上になるように設置してください。
発生したエアーポケットが滞留する場所がポンプ+水枕にならないことが重要です。ベストはラジエーターがPCケースのサイドに設置されることです。次点でトップに設置されることです。ボトムは避けましょう。
ラジエーターをサイドに設置する場合、可能であればチューブが下側に来るように設置することが望ましいです。チューブが下側にあることでエアーがラジエーターの上部に溜まるようになり、よりポンプ+水枕に流入しづらくなります。
より詳細な解説を確認したい場合はJayzTwoCentsやGamers Nexusの動画を参照してください。