「私のツイートが無断転載されました!」と騒ぐのは無知の証だからやめたほうがいい
誤った被害宣言は恥ずかしい
【拡散希望】○○ に記事を無断転載されています。 お手すきの方は通報にご協力下さい
とある日の Twitter のタイムラインに上記のようなツイートが流れてきた。どうやら、自分のツイートがどこかにまとめられて記事にされて頭にきているようだ。
しかし、これを見たときの感想は「……何を言っているんだ?」である。
Twitterでは時折、公開アカウントでツイート投稿を繰り返すくせに外部への引用を嫌う一派がいることに気が付かされる。このような人たちがどのような思考回路かはともかく、ツイートを引用されて怒っているのは全くのお門違いな怒りだと言える。
どういった点がお門違いか簡単に解説する。
Twitter は転載を認めている
まず、Twitter上の投稿に対する引用(転載)はTwitter自体が認めている。
Twitterの利用規約には「ユーザーは、当社や他の利用者に対し、ご自身のツイートを世界中で閲覧可能とすることを承認することになります」と明記されており、投稿を行った瞬間から投稿を引用されることに対して許諾しているとみなされている。
知らなかったとでも言うだろうか?であれば、利用規約を読むまで利用を控えるべきだ。
Twitterは利用規約にて、投稿者本人以外からTwitterが提供するサービス(例えばツイート埋込機能を介して外部へ転載される可能性を明言しており、全ての利用者はこの利用規約を承諾していることが利用条件となっている。
つまり自分のツイートがたとえ嫌いな人やウェブサイトによって転載されていたとしても、それがTwitterのサービスを介して行われているならば文句を言う権利は無いということになる。承諾しているのだから当然だ。承諾したのはあなたである。
著作権的にも問題ない
ここまででTwitterのルール上問題ないことが理解できたはずだが、さらにお怒りの方には不幸なことに著作権法的にも引用は全く問題がない。
公益社団法人著作権情報センターが公開しているQ&Aを例に説明すると、まず著作権法は何でもかんでも権利者を保護するものではなく、著作物を一定の条件に合致していれば自由に利用可能であると定めている。
「私的使用のための複製」などが有名だが、「引用」についても著作権を侵害しないと定められている。(著作権法第 32 条)
つまりお怒りの方が何をしているかというと、サービス利用規約と法律の両方から認められた行為に対して文句を言っているということで。これは大変にお門違いで滑稽と言わざるを得ない。
通報の呼びかけは名誉毀損などリスクも
ただ文句をぶつくさ言うだけなら「よく分からないで契約にサインしてしまう人なんだな」で済むところだが、もし仮に「勝手に転載していて悪い奴だ!」などと騒いで通報を呼びかけてしまったら、最悪の場合は名誉毀損などで逆にトラブルを起こす側となる。
何ら問題ない方法でサービスを利用している人に向かって、勝手に権利を侵害していると世間に主張していることになるのだから、どちらが悪者となるのかは一目瞭然である。
Twitter を使うのをやめたほうが良い
「情報は発信したいが○○には見られたくない」なんて考え方をしたいのであれば、Twitterのようなオープンなサービスの利用を一切やめるべきだろう。Twitterに限らず引用行為は正当な権利であるため、誰にも引用されたくないのなら情報発信をやめるしかない。
もしあなたが引用に怒っているのであれば、あなたが行っていることは渋谷のハチ公前で拡声器を使って会話しているようなものだと理解すべきだ。そのようなことをしておきながら、特定の誰かには聞かれたくなかったと騒いだところで、客観的に見ておかしいのは拡声器で私的な会話をしているあなたである。
怒っても良いパターンもある
当初想定よりも記事が拡散したことで、内容をよく読まれないままに「Twitterならどのような方法でも転載していい」といった免罪符として本記事が振りかざされるケースが発生しているようなので追記する。
簡潔に、無断転載されたと怒っていいパターンを記載する。
- ツイート埋込機能など Twitter が提供するサービスを利用しない転載は不可。
- 法律上の引用の定義を満たさない転載は不可。