VTuberの恋愛スキャンダルと境界の曖昧さ

VTuberの恋愛スキャンダルの噂が広まり、私はそれほど熱狂的なファンではありませんでしたが、不思議なことに今回の出来事にはダメージを受けました。本記事では、なぜこの出来事が私にダメージを与えたのかを言語化し、その理由を探りたいと思います。

VTuberへの情熱と投影

VTuberファンは、バーチャルキャラクターに対する情熱的な愛情を抱いています。これらのキャラクターは魅力的な個性やストーリーテリングを通じて、ファンの心を捉えます。VTuberはファンの投影の対象として機能し、彼らは自身の感情や経験をキャラクターに投影することがよくあります。しかし、こうした投影がリアルな恋愛に関わる場合、ファンは混乱し、衝撃を受けます。なぜなら VTuberはファンにとって、現実とは異なる存在であると感じられてきたからです。

虚実の境界の曖昧さ

VTuberの魅力の一つは、虚実の境界の曖昧さにあります。これらのバーチャルキャラクターは、仮想の個性と実在の声優や演者の融合によって生まれます。一方でVTuberは仮想の存在であるため、彼らのリアルな人間性は演者自身のプライベートでのそれとで境界が非常に曖昧なものとなっています。そのため恋愛スキャンダルが発覚すると、ファンは現実と仮想の世界の境界で薄められていたギャップに直面することになり、これが衝撃をもたらす要因となります。

愛情の裏切りと失望

VTuberのファンたちは自身の愛するキャラクターに対して特別な感情を抱いています。恋愛スキャンダルの発覚はファンにとって愛情の裏切りとして受け止められることがあります。キャラクターが現実の恋愛関係に関与していることを知ると、ファンは失望感を抱き彼らの理想像と現実のギャップに直面します。

宣言しておきたいのは、これはファンとしてVTuberと恋愛ができるだとか期待していたということではありません。

ファンは普段は独立した作品としての世界観を持って暮らしているキャラクター達の生活を見守って物語の様に楽しんでいますが、突然にリアルの事情がその世界観に乱入し、今まで楽しんでいた世界が壊れてしまうからこそ衝撃と悲しみを感じるのです。

結論と反省

例えばアニメや映画の中で好きなキャラクターが他のキャラクターと恋愛に発展しようが、声優などの演者が恋愛をしていようが（一部にはダメージを受ける人もいるようですが）特にダメージを受けることはありません。それは物語は物語として一貫性を持った状態が続いており、キャラクターと演者が同一視されないよう境界がはっきりとしているためです。

VTuberの場合、同じ箱内などで恋愛関係にあるキャラクターとして描かれてきた場合は特に何事もなく受け入れられるでしょう。実際、キャラクターと演者が切り離されて明示されていた犬山たまきの場合、何もダメージはありませんでした。

演者のプライベートとの境界が薄いことでこそ楽しめているVTuberではありますが、その中でも生臭さを感じてしまうような事情はお約束で蓋をして、適度に薄めつつ楽しむという文脈で基本的には成り立ってきたコンテンツです。現実世界にリンクしつつも虚構である世界として楽しんできた物語が、情緒もへったくれもなく壊れてしまうと、どうしてもファンとして悲しい気持ちが出てきてしまいます。

境界が薄いとはいえ夢の国であるのだから、見せない工夫というのは演者側に期待したいところです。ファンとしてはどうでしょう、どうすればダメージを受けないようキャラクターを楽しむことが出来るでしょうか？

(アイキャッチ画像はポストアポカリプスと流星をイメージして作りました)