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半導体の製造プロセスを雰囲気投資するために理解する

#市場動向#TSM#ASML#LRCX

半導体の製造プロセスを雰囲気投資するために理解する

「半導体って何か理解してから投資していますか?」

「半導体の製造プロセスとか理解してASMLとか口に出してますか?」

こう聞かれたら「いいえ」と言ってしまいます。

今やアメリカ株投資をする人なら誰でも知っているNVIDIAが「謎の半導体メーカー」と呼ばれた頃から早数年が経過しました。半導体がこれからの産業にとってなくてはならない重要な戦略資源だという事は分かっていつつも、そろそろ半導体産業について理解を深めようではありませんか。

幸いにして半導体産業に強みを持つ企業は国内にもあり、それらの企業が深く学習しようと思えばどこまでも深く学習できてしまう沼のような学習コンテンツを出してくれているので、概要をかいつまんで理解した気になれる記事としてアウトプットしてみます。訂正点などあれば遠慮なく指摘していただけると助かります。

(お手柔らかに)

そもそも「半導体」とは

まずは用語の基礎知識から紹介しておきましょう。

半導体という言葉自体は電子機械でも部品でもなんでもなく、物質の分類です。電気をよく通す「導体」と電気をあまり通さない「絶縁体」の両方の性質を持つ物質を「半導体」と呼びます。そして半導体の代表例が「シリコン」となります。だいたい半導体と言えばシリコンです。

どちらの性質も持つということで、それぞれの性質の方向性を整えてやれば電気を指定した方向へだけ流すことができるようになります。電流を指定した方向へ指定したときにだけ流すことができるということは、それは回路としての性質を持つことになります。そうした半導体を集合して作られたものを「集積回路」と呼びます。

製造プロセスの概要

それでは半導体の製造プロセスを理解していきましょう。半導体は、シリコンでできた「ウェーハ」という板状の基盤の上に様々な加工を行うことで製造されます。大きくは以下のプロセスに分類できます。

  1. マスク製造工程
  2. ウェーハ製造工程
  3. 前工程
  4. 後工程

マスク製造工程

半導体は最終的にコンピューターが演算を行うための回路となるわけで、ウェーハの上に何とかして回路を作成することになります。その際にどのような回路を作成するのか、事前に設計をしておく必要があります。

求められる機能に応じて適した回路は異なるので、設計に強みを持つ企業などが存在します。アーム社などが携帯機器向けの低消費電力な設計に強みを持つことで知られていますね。

設計できた回路を焼き付ける際に使用する「フォトマスク」を作成します。型だと思ってよいでしょう。

ウェーハ製造工程

ウェーハの切り出し

冒頭でウェーハという言葉を使用してしまったためプロセスが前後してしまいますが、シリコンウェーハ自体は棒状のシリコン「インゴット」を薄く切り出すことで「ウェーハ」という単位になります。大根インゴットを細く輪切りにして大根ウェーハを作る、みたいなイメージが近いでしょうか。

ウェーハの洗浄

少しでも汚れやチリが付着していると、その後の品質に多大な悪影響を及ぼしてしまうため、切り出されたウェーハはまず洗浄されます。

クリーンルームという埃などが制御された空間で、薬品などを用いて綺麗にします。

前工程

成膜

洗浄したウェーハを酸化させます。酸化させて膜をウェーハ上に作ることが目的です。

これでできた膜が絶縁層となり信号を増幅させたりオン・オフを切り替えるスイッチの役割を果たす「トランジスタ」の一部となります。

成膜の方法は複数あります。プラズマによってイオンをぶつけることで分子や原子を剥がして、それを堆積させて膜とする「スパッタ法」。溶液に対象をつけて電気を流すことで、対象の表面に溶け出た金属イオンを膜として形成する「電気メッキ法」。炉の中にガスを注入して膜を生成する「CVD法」。加熱する「熱酸化」などがあります。

成膜後にも洗浄を行います。

フォトレジスト塗布

フォトレジスト(感光材)をウェーハの表面に塗布していきます。光を当てることでフォトレジストを反応させ、設計した回路を焼き付けることが出来るようになることが目的です。アナログ写真の時代のフィルムと同じ原理ですね、光を当てることで固着します。

コーティングマシンを使用して、対象に塗布していきます。一連の塗布する工程を総称して「コータ」と呼びます。

露光

ウェーハに塗布したフォトレジストに対して、フォトマスクとレンズを用いて光を照射し回路を焼き付けていきます。

カメラのレンズに用いられる技術と共通点があるため、キヤノンやニコンなどが存在感を発揮していた時代もありましたが、現在ではASMLがこの分野ではリードしているようですね。

現像

現像液をウェーハ上に均一にかけて、作りたかった回路パターンのみをウェーハ上に残します。

ポジ式とネガ式があり、ポジ式のフォトレジストでは光の当たった場所、ネガ式のフォトレジストでは光の当たらなかった部分が可溶性になることで不要なフォトレジストを取り除けるようになります。

エッチング

現像では不要なフォトレジストを除去しましたが、次はエッチングを行い不要な絶縁層を除去します。成膜の工程で作成された膜のことですね。

フォトレジストが残っている部分は保護されるため取り除かれず、フォトレジストが上に残っていない膜部分のみが取り除かれます。

エッチングの方法には 2 種類あります。薬液を使用する「ウェットエッチング」と、ガスやイオンを用いる「ドライエッチング」に分類できます。

ウェットエッチングは装置が安価ですが加工の精度に劣ります。反対にドライエッチングは装置が高価ですが微細加工が可能という特徴があります。

レジスト剥離・洗浄

エッチングにより回路パターンに沿った必要な絶縁体は形作れたため、次はフォトレジストを除去します。「リソグラフィ」とも呼びます。

洗浄装置を使ってウェーハを薬品に浸し、レジストを剥離させ、その他不純物を取り除きます。なおこのレジスト剥離も2種類ありまず。前述した方法と、ガスを用いる「アッシング」という方法です。

イオン注入

半導体の電気的特性を変化させるため、不純物イオンを注入して熱を加えることで活性化させます。極小のトランジスタをこれにより作成するため、一瞬で活性化させる必要があり「アニール装置」と呼ばれる装置が担当します。

平坦化

ここまでで必要な形の絶縁層の膜がウェーハ上に形成されていますが、凸凹な状態です。そのため研磨して平坦化する作業を行います。

回路が多重の層で必要な半導体の場合、フォトレジスト塗布から平坦化までの工程を繰り返し、必要な回路を作り込んでいきます。

作り込まれた回路は「チップ」と呼ばれます。通常ウェーハの上には複数の同じチップが形成されることになります。チップのことを「ダイ」と呼ぶこともあります。ダイの面積が小さいほど加工難易度は上がりますが、ウェーハ辺りの製造数が増加するためコストダウンにも繋がります。(ダイを小さくするためのコスト増加と天秤にかける必要がありますが)

電極形成

作成したチップの内部と外部を電気的に接続するための電極を埋め込みます。

ウェーハ検査

作成されたチップが電気的に問題ないことを検査します。

「プローブ」という針を接触させて検査していきますが、期待値と同じ信号が応答されるかを確認することで不良品を見抜きます。

後工程

ダイシング

ダイヤモンドブレードを使って、ウェーハを個別のチップに分離していきます。

ダイボンディング・ワイヤーボンディング

チップを金属の枠などで固定し、チップを他の電子部品と配線可能にします。

モールディング

このままではチップはむき出しで傷や衝撃に弱いため、樹脂でパッケージして保護します。

パッケージにはエポキシ樹脂がよく利用されるようです。

最終検査

温度や電圧といった複数の試験項目で異常がないことをテストし、完成です。

まとめ

半導体の製造プロセスには様々な段階があることが分かったと思います。これまでは半導体関連の銘柄を調べても「〇〇に強み」とあってもそれが何を意味しているのかが分からず苦労していましたが、これからはある程度具体化してそれらの意味が分かるようになると思います。

もう ASMLの「極端紫外線リソグラフィ(EUVリソグラフィ)」という単語でにぎわう半導体メーカーの話題にしり込みする必要がなくなりますね。ふふ、これは露光技術のことです。

絶縁体で回路を形作るためにレジストを作り、絶縁体が出来た後にレジストを除去する。整理して噛み砕いてみれば意外と簡単に分解できることが分かりました。最後までご覧いただきありがとうございました。


※この記事は下記の公開情報を参考にしました。