EstrildaEstrilda

Stocks

バイオ銘柄の注目リスト

#市場動向#BPMC#MDGL#FGEN#XLRN

バイオ銘柄の注目リスト

2020 年初頭にかけてのテクノロジー系グロース銘柄、特にSaaS分野においては既に大方が分析されつくしているとの声を耳にします。少し調べたら出てくるような企業は株価は高騰しており、今から買い付けたとしても高値掴みになってしまうことが多そうな気配がしています。

そこで次に個人的に目を向けてみたいのがバイオ創薬セクターです。

バイオ創薬セクターは私自身に知見が無い分野でもあり、日本の株式市場においてはあまり良いうわさを聞かないことも多く、調べる前から敬遠していたセクターでもあります。実際にこの注目リストを書いている現在も「バイオ創薬」というワードには半信半疑です。

しかし調べてみないと何とも言えないことも事実で、調べてみてまともな企業も沢山あるのだと分かればよし、分からなかったら今後も近づかないことを決めるいい機会として調べる必要を感じています。前置きはこの程度にして、リストを書いていきましょう。

BPMC: Blueprint Medicines Corporation

設立従業員数時価総額
2008420$5.49B

Blueprint Medicinesは遺伝によるがん、希少疾患、がん免疫療法におけるドライバー遺伝子を標的とした低分子キナーゼ阻害剤の開発を行っています。全身性肥満細胞症(SM)と消化管間質腫瘍(GIST)に対するアバプリチニブの開発で知られています。アバプリチニブ(BLU-285)は2020年1月にFDAの承認が行われています。

BLU-554やBLU-667といった候補薬も特定の活性化キナーゼを対象としています。他にも複数のパイプラインと進行状況が公式ウェブサイト上で掲載されています。

ドライバー遺伝子とキナーゼ

がんの発生と進展に直接的な役割を果たす遺伝子をドライバー遺伝子と呼びます。ドライバー遺伝子を阻害もしくは修復することが出来れば、がんの治療が可能なのではないかと期待されています。ドライバー遺伝子に対応して阻害する医薬品を分子標的医薬品と言います。

がん細胞は増殖するためにシグナル伝達を行う必要があります。そしてそのシグナル伝達を行うためにはキナーゼ(酵素)の活性化が必要となるため、がん細胞の増殖に関わる特定分子のシグナル伝達を阻止することで、抗腫瘍効果を発揮することが可能となります。

遺伝子変異解析については繰り返し解析が可能となる低侵襲な検査方法が必要で、リキッドバイオプシーをキーワードとして覚えておくと良さそうです。

参考:ジェネティックラボ

MDGL: Madrigal Pharmaceuticals, Inc.

MDGLのパイプライン

設立従業員数時価総額
201129$1.92B

Madrigalは心血管疾患、代謝性疾患、肝疾患の治療薬候補の開発に注力している会社。特に肝臓の甲状腺ホルモン経路に対する新たな治療方法の追及を行っており、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療方法について臨床試験が進んでいる点で注目されているようです。

NASHに対する候補薬として第III相臨床試験中のMGL-3196、非臨床試験中のMGL-3745を開発中です。

スイスの製薬・ヘルスケア企業であるHoffmann-La Rocheと研究開発、商品化契約を結んでいます。

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)

肝臓は一般的に肝炎ウイルスや飲酒によるアルコールのせいで肝臓病になると考えられますが、それらに関係なく発症する肝臓病として非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が注目されています。非アルコール性脂肪肝(NAFL)と合わせた呼び方として非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もキーワードとなります。

日本国内のデータになりますが、人間ドックを受診する30-40%が非アルコール性脂肪肝であり、さらにそのうち10-20%が非アルコール性脂肪性肝炎へと進展すると考えられているようです。非アルコール性脂肪肝の推定潜在患者数が1,000-2,000万人、非アルコール性脂肪性肝炎へと進展するのは100-200万人という計算になります。

非アルコール性脂肪性肝炎はB型肝炎やC型肝炎以外の肝がんの成因として考えられています。

現在のところ治療法とされているのは生活習慣の改善、肥満手術が中心となっており、薬物療法で効果が認められた2020年7月の時点では特効薬は存在していません。

参考:肝炎情報センター

FGEN: FibroGen, Inc.

設立従業員数時価総額
1993531$3.73B

FibroGenは従来の治療体系を大きく変えるファースト・イン・クラス治療薬(画期的医薬品)の開発を目指す企業です。貧血や繊維性疾患、がん治療に対して注力しているようです。

日本では**成人の8人に1人が潜在患者とされる慢性腎臓病(CKD)**の治療薬が欧米で第III相臨床試験中となっており、骨髄異形成症候群(MDS)に対しては第II/III相臨床試験を実施しています。慢性腎臓病に対するRoxadustatは既に日本と中国では承認を得ています。

参考:協和キリン

アステラス製薬、アストラゼネカを共同研究契約を結んでいます。

繊維性疾患

繊維化とは炎症などによって内蔵壁が厚く硬くなることを指しており、例えば肺で繊維化が進行した場合、血液に酸素が取り込まれにくくなるといった症状へと繋がっていきます。

XLRN: Acceleron Pharma Inc.

設立従業員数時価総額
2003237$6.79B

ヒトヘモグロビンの量的異常(サラセミア)のβ鎖異常(βサラセミア)の成人患者に対する貧血治療薬、Reblozyl(luspatercept-aamt)が2019年11月にFDAより承認を受けています。Reblozylは赤血球成熟製剤の画期的医薬品であり、βサラセミアに対する初の承認薬となっています。

luspatercept-aamtはMDSに対する治療薬としても開発が続けられています。

参考:Acceleron Pharma Inc.