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米国銘柄分析 | IDEXX Laboratories(IDXX)

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米国銘柄分析 | IDEXX Laboratories(IDXX)

今回は動物ヘルスケア事業を展開するIDEXX Laboratories(IDXX)の銘柄分析です。ペットや家畜向けの医療診断キットの製造販売を手掛ける企業で、長らく続くペット業界のブームが業績を後押しし続けていることから注目の企業です。

歴史は古く、約30年前にデラウェア州の農業テックの開発としてスタートした同社は主にペット、家畜、家禽、乳製品、水質検査の市場をターゲットにサービスを提供しています。

ちなみに会社名は日本語で「アイデックス」と読みます。

企業概要

項目内容
会社名IDEXX Laboratories, Inc.
ティッカーIDXX
上場NASDAQ
本社アメリカ、メイン州
設立1983年
社員数9,800人
時価総額約531.1億ドル

IDEXX Laboratoriesは、動物病院で獣医が診断のために利用する機器や検査キットの提供や、画像診断システムやコンサルティング、研究機関で利用する実験設備などを提供しています。ペット・家畜・人の健康と福祉を向上することをミッションとしている企業です。

総診療収入と訪問数の増加

YoYで毎期で前年比 5%程度の成長を続けており、2020年はコロナ禍の影響で来院者こそ減少したものの利益の成長は維持したことからもペット業界の力強さを確認できますね。CatalystやHematologyといった製品があるのですが、導入数もYoYで13%と10%と好調です。

American Pet Products Association(APPA)の統計資料によれば、アメリカにおける2020年度のペット産業の市場規模を990億ドルと見積もっており、2019年度の実績957億ドルに対しても成長を見込んでおり、今後もペット産業への長い拡大トレンドが続くと見られています。

事業内容

IDEXX Laboratoriesの事業セグメントは3つ―ペット、水質検査、家畜―に分類されています。

セグメント別の売上推移セグメント別の売上推移

Companion Animal Group

動物病院向けに診断や情報管理のサービスを提供するセグメントです。診断ソリューションとしては診療所内で行う血液検査や尿検査などの診断キットを提供しています。情報管理ソリューションとしては獣医師の用いる各種モダリティにまたがった診断データを患者と紐づけて管理し、より良い医学的洞察と意思決定を助けます。

売上比率のほとんどはこのセグメントであり、大きな成長を続けるセグメントでもあります。

Water

水中の微生物の検査、水質検査ソリューションを提供するセグメントです。大腸菌検査など水中の汚染度や栄養指標を算出するための検査キットが例に挙げられます。飲用水やプールといった場面が使用シーンとして挙げられます。

Livestock, Poultry and Dairy

家畜、家禽、乳製品に関するセグメントです。家畜と家禽に関しては健康状態の管理、乳製品に関しては牛乳の品質検査などに寄与するサービスを提供しています。家畜の獣医や生産者、加工業者や研究所が顧客となるようです。家畜の病気の検出や予防管理が可能となります。

Other

人向けのサービスが分類されていますが、定量的または定性的ではない契約などもここに分類されます。

直近ではCOVID-19検査製品やサービスが寄与しています。

市場環境

高い成長率

成長率

2016年から2020年までの5年連続でオーガニック成長率10%以上を維持しています。企業買収などに拠らない既存リソースからの収益が年率で10%を超えて成長しているのは驚異的です。個人投資家なら年率10%のパフォーマンスを維持する大変さが身に染みているので尚更です。

これらの数字はNon-GAAPのものですが、ROICが55%というのも魅力です。端的に言って資金効率が非常に高効率です。

Total Addressable Market

TAM

IDEXX LaboratoriesはTAM=獲得可能な最大市場規模を370億ドルと試算しています。現在の獲得市場は全体の15%以下としており、各地域でまだまだ成長余地を残している見解です。

直近のペット飼い主層の統計

飼い主の動向

コロナ禍の2020年において診療所への訪問数が減ったため業績には悪影響が発生しましたが、アメリカやヨーロッパをはじめとする世界的なペット総数は増加し長期的には業績を後押しすることが見込まれています。

アメリカにおける世代別の飼い主増減では24歳以下のZ世代が11%増加、25-40歳のミレニアル世代が18%増加と比較的若い世代での増加が顕著にみられました。

決算データ

過去10年分のMorningstarより取得したデータをグラフ化して掲載します。

業績の推移

売上の推移

右肩上がりの売上、高く維持された粗利益率、高水準のROICが非常に魅力的です。

キャッシュフローの推移

キャッシュフローの推移

営業CFマージンが高い水準を維持しており、現金を生み出す力のあるビジネスが構築できていると判断できそうです。

1 株当たりの業績の推移

EPSなどの推移

配当は行われていませんが、自社株買いによる株主還元は行われています。

1株に対する売上も利益もキャッシュフローも増加基調であり、綺麗なグラフとなっています。典型的なホールドし続ければ株主の保有する価値も年々増加していく銘柄といえそうです。